TAVI(タビ)とは

サピエンXT弁

コアバルブ弁

心臓の出口である大動脈弁が硬くなって、出口が狭くなる病気、それは大動脈弁狭窄症です。
重症の大動脈弁狭窄症は命にかかわる病気であり、最も確実な治療は人工弁に置換する手術(大動脈弁置換術)です。TAVI(タビ)は、心臓以外の病気を抱えていたり、体力が低下していて手術に耐えられないような大動脈弁狭窄症の患者さまに対する最新治療です。手術は心臓を止めて硬くなった弁を人工弁に置き換えますが、TAVI(タビ)は小さな創で心臓を止めることなく、カテーテルを用いて硬くなった大動脈弁の内側に人工弁を植え込みます。
日本では2013年10月から医療保険が適用され、2015年末までに約2500例が行われています。

当院は2015年12月7日(月)付にて、経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会が策定する実施施設基準を満たし、「経カテーテル的大動脈弁置換術実施施設」として認定されております。

ハイブリッド手術室

ハイブリッド手術室は、手術室と同等に空気が清浄で、感染の危険を減らすことができます。
万が一カテーテル治療の合併症が起きた場合でも、他の手術室に移動することなく外科手術に切り替えることができるため、安全性が高まります。

TAVI(タビ)の利点と欠点

最新治療は、利点だけでなく、欠点をよく理解することが重要です。高齢だから絶対TAVI、あるいは手術が難しいから絶対TAVI、というわけではなく、患者さんごとに本当にTAVIが適しているかを検討することが重要です。
当ハートチームは綿密な検査と総合的な評価によって、(1)TAVI (2)外科手術 (3)その他の治療(薬や風船で症状だけを取る治療など)のうちどれが最適かを患者さまと一緒に選択します。

利点

手術に比べて身体の負担が小さい

出血量や輸血量が少ない

入院期間が短い

高齢で体力の衰えている場合や合併疾患のある場合など、開胸による外科手術にはリスクが高いとされていたケースでも、より低侵襲に治療を受けていただくことができるようになりました。また外科手術とカテーテル治療を組み合わせて、個々のケースに合わせた治療も可能です。

費用

高額療養制度が適用されます

治療と入院費の自己負担額は約5~20万円

欠点

自己の大動脈弁の内側に植え込むため、
サイズや形で制限がある。

手術に比べて
植え込みの精度はやや劣る。

長期(10年以上)の
耐久性が不明。

TAVIで起こりうる合併症

日本におけるTAVI後の死亡率(術後30日以内)は約2%です。侵襲が低い治療と言っても、対象となる患者さまによっては、死亡や合併症の危険がないわけではありません。
以下のような合併症が起こりえます。

・血管や心臓の破裂、出血

・腎不全、透析(造影剤を使用するため腎臓に負担をかけます)

・心筋梗塞、心不全

・感染(創部感染、肺炎、感染性心内膜炎など)

・脳梗塞

・不整脈(ペースメーカーの植え込みが5~10%で必要になります)

・人工弁の脇もれ、人工弁の落下、カテーテルの回収困難

合併症が起こる確率は患者さんによって異なります。術前に十分な検査を行い、これらの合併症が起こるリスクを評価します。これらは術前に十分評価をすれば、予防できることが多いものです。万が一これらの合併症が発生した場合に備えて、どのような対応も迅速にできるような体制を取っています。

TAVI(タビ)2つのアプローチ

経大腿アプローチによるTAVI

・経大腿アプローチ:脚の付け根の動脈から大動脈弁に至る

経大腿アプローチは、脚の付け根の動脈から大動脈弁に運びますので、胸部を切開せず最も侵襲の小さな方法であることが、最大の利点です。しかし、お腹や脚の血管に瘤があったり、血管が細い人や詰まっている人には不向きな方法です。

鉛筆ほどの太さに折りたたまれた生体弁を装着したカテーテルを1cm弱の小さな穴から太ももの付け根にある大腿動脈に入れて、心臓まで運びます。

生体弁が大動脈弁の位置に到達したらバルーン(ふうせん)を膨らませ、生体弁を広げ、留置します。

生体弁を留置した後は、カテーテルを抜き取ります。

生体弁を留置された直後から、患者さんの新たな弁として機能します。

提供エドワーズライフサイエンス株式会社



外科的アプローチによるTAVI

・経心尖アプローチ:左胸を小さく切開して心臓の壁から大動脈弁に至る
・経大動脈アプローチ:胸部正面を小さく切開して大動脈から大動脈弁に至る

経心尖アプローチや経大動脈アプローチは、胸部を切開しますが、お腹や脚の血管に問題があっても行うことができます。
また、大動脈弁までの距離が近いため操作性が良く、より正確な植え込みが可能です。

助骨の間を小さく切開し(6~7cm)、そこから折りたたまれた生体弁を装着したカテーテルを心臓の先端(心尖部)を通じて導入します。

生体弁が大動脈弁の位置に到達したらバルーン(ふうせん)を膨らませ、生体弁を広げ、留置します。

生体弁を留置した後は、カテーテルを抜き取ります。

生体弁を留置された直後から、患者さんの新たな弁として機能します。

提供エドワーズライフサイエンス株式会社



安心・安全な医療を提供するためのハートチーム

ハートチームとは、心臓の病気の診断から治療に関わる医療スタッフが、職種や専門性の垣根を越えて集まったチームです。垣根を越えた多角的アプローチで、柔軟かつ的確な治療方針決定が可能となり、医療の効率化と安全性向上が実現します。東京ベイのハートセンターは、設立時から心臓血管外科と循環器内科が一体化しており、TAVIのために見かけだけ結束した俄のハートチームではありません。

毎朝のハートチームカンファレンスでは、心臓血管外科医、循環器内科医、麻酔科医、集中治療医、看護師、臨床工学士、理学療法士などが集まって、徹底的に議論します。その他に治療検討カンファレンス、心臓カテーテル検討カンファレンスや心臓エコーカンファレスを行い、ここには前述の職種の他に、超音波検査技師や心エコー図技師も参加しています。

東京ベイのハートセンターは、TAVIを含めた全ての心疾患治療をチームで検査し、チームで治療方針を決定し、チームで治療しています。
TAVIはまさにハートチームの力が問われる治療です。あらゆるエキスパートが治療方針を決定し、他職種が力を合わせて治療します。術後は心臓手術の術後管理のエキスパート、集中治療専門医、ICUナース、理学療法士が加わって確実な回復をサポートします。

東京ベイ・ハートチームからのメッセージ

循環器内科 ハートセンター長 渡辺 弘之

一人でも多くの大動脈弁狭窄症患者を救うために。

日本でもTAVI治療ができるようになり、私はこれまで他の医療施設において、スクリーニングのドクターとしてTAVI治療の現場に携わってきました。その体験を通して、この新しい治療法が必ず多くの患者さまを救うことができると確信し、当院にもTAVIに必要不可欠なハイブリッド手術室が導入されることを強く願っていました。ハイブリッド手術室での治療対象となる大動脈弁狭窄症や大動脈瘤は、何より早期に発見し、リスクが高くなる前に治療することが重要です。実は、手術が必要な方の3割から6割が、こうした病に気づかず手術を受けられていないと言われています。だからこそ、不安な方はまず受診していただくと良いでしょう。特に、ちょっとした運動で胸が痛くなるなど、これまでできていたことができなくなった高齢者の方、あるいは、他の医療施設で心雑音があると言われたけれど原因がはっきりしない方、そのような方には大動脈弁狭窄症が隠れている可能性があります。健康診断では発見できない場合もあるので、ぜひ当院で聴診器やエコーによる検査を受けていただければ幸いです。

心臓血管外科 部長 田端 実

培ってきたチームワークを活かし、真にベストな治療へ

ハイブリッド手術室の導入により、外科手術とカテーテル治療の良いところを組み合わせたハイブリッド治療が行えるようになりました。
またTAVIによって、これまで手術を受けることができなかった患者さまも治療が受けられるようになりました。TAVIは手技自体はとてもシンプルですが、治療計画や治療におけるタイミングがとても重要です。また、高齢者が対象になる場合も多いため術後管理やリハビリも非常に重要です。そこで問われるのが、ハートチームとしてのチームワークです。私自身、国内外の多くの病院でTAVI治療の現場に携わってきましたが、私たちのチームワークは、どこの病院にも引けをとりません。
低侵襲治療と聞くとリスクの低い魅力的な治療と思われるかもしれませんが、欠点や限界もあります。私自身はTAVIのエキスパートであると同時に心臓手術のエキスパートでもあり、両方の治療を熟知しているからこそ各々の患者さまに最適な治療を選ぶことができます。どのような治療でも良い点・悪い点を十分説明させていただき、患者さまにとって真にベストな治療を提供していきたいと考えています。

循環器内科 部長 小船井 光太郎

リスクの少ない治療に秘められた、何倍もの可能性

心臓の病気というものは、内科的な治療と外科的な治療とどちらからでもアプローチできるため、競合することも融合することもできます。私たちハートセンターは、診療科にとらわれず知識や技術を融合させ、患者さまにベストな治療を提供するためにハートチームをつくりました。ハイブリッド手術室は、まさにそのチーム力を発揮することのできる設備です。
ハイブリッド手術室を活用することで、内科的な治療と外科的な治療の両方が同時にできるようになりました。しかしそれは、1+1=2という単純なものではなく、何倍もの大きな効果を得る事が期待できます。特にこれからは、患者さまご自身が医療施設や治療方針を選択できる時代。私たちはこうした最新の医療を通じて、患者さまにとって最善となるお手伝いができれば幸いです。
実は心臓の病気は、治るものがほとんどです。高齢だからと諦めていても、よく検査をすればリスクの少ない治療で治ることもあります。ハイブリッド手術室も、その可能性を高めてくれる設備です。心臓に関する悩みがあれば、どんなことでもお気軽に受診されることをオススメします。

受診のご予約

TAVIは大動脈弁狭窄症患者様治癒への新たな治療手段です。
当院のハートチームへお気軽にご相談ください。

外来予約センター

受付時間/平日 8:30~17:00

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お問い合わせいただく際は番号をよくお確かめの上、お掛け間違いのないようご注意ください。